管理職としての仕事を、誰が教えたのか?(第13回)

「仕事ができるから、次は管理職に」

企業では、ごく自然に行われている人事かもしれません。

営業成績がよい。

技術力が高い。

責任感がある。

周囲からも信頼されている。

そうした社員を管理職に登用すること自体は、不思議なことではありません。

しかし、ここで一つ考えてみたいことがあります。

その人に、「管理職としての仕事」を、誰が教えたのでしょうか。

「役職」が変われば、「仕事」も変わる

プレイヤーとして求められるのは、自分の担当業務で成果を出すことです。

一方、管理職になると、それだけでは足りません。

部下の状況を見る。

仕事を割り振る。

進捗を確認する。

必要な支援をする。

人を育てる。

部署内外の調整をする。

問題が起きれば、判断し、必要な指示を出す。

そして、自分自身の関わり方が、部下やチームにどのような影響を与えているのかを振り返る。

役職が変われば、求められる仕事も変わります。

ところが、肩書きだけが変わり、「仕事の仕方はプレイヤー時代のまま」ということがあります。

「自分でやった方が早いから」が続くと

仕事ができる人ほど、

「自分でやった方が早い」

と思う場面は多いかもしれません。

実際、自分でやれば早く、正確に終わることもあるでしょう。

しかし、それを続けていると、管理職自身が仕事を抱え込むようになります。

部下は経験を積む機会を失います。

管理職は忙しくなり、部下を見る時間が減ります。

そして、チーム全体ではなく、管理職本人の頑張りによって仕事が回るようになります。

これは、部下の能力が低いから起きるとは限りません。

むしろ、プレイヤーとして身につけた「成果を出す方法」を、そのまま管理職になっても使っているだけなのかもしれません。

管理職になれば、自然にできるようになるのか

人を育てること。

仕事を任せること。

部下の変化に気づくこと。

異なる意見を調整すること。

必要なときには厳しい判断をすること。

こうした仕事は、役職名が付いた瞬間に自然に身につくものではありません。

それにもかかわらず、

「管理職なのだから、それくらいできて当然」

とされてはいないでしょうか。

もし会社が、管理職として何を求めるのかを十分に伝えず、その役割について学ぶ機会や支援も用意しないまま、

「部下が育たない」

「マネジメントができていない」

と評価しているとしたら、問題はその管理職個人だけにあるのでしょうか。

「管理職を任命する」ことと、「育てる」ことは違う

管理職研修を一通り実施すれば、それで十分というわけでもありません。

実際の職場では、教科書どおりにいかないことが次々に起こります。

だからこそ、

会社が管理職に何を期待しているのか。

管理職本人は何に困っているのか。

どのような判断に迷っているのか。

部下やチームに何が起きているのか。

そうしたことを振り返り、必要に応じて助言や支援を受けられる仕組みも必要です。

管理職を任命することと、管理職を育てることは、同じではありません。

「管理職の問題」で終わらせない

部下が育たない。

チームがまとまらない。

管理職が疲弊している。

離職者が出る。

そうした問題が起きたとき、

「管理職の力量不足」

という一言で終わらせるのは簡単です。

しかし、その前に、

会社は、その人に管理職としての仕事をきちんと教えてきたのか。

と問い直してみてもよいのではないでしょうか。

管理職の役割を明確にし、学ぶ機会をつくり、必要なときには支援する。

それは管理職本人のためだけではありません。

その人のもとで働く社員と、組織全体を守ることにもつながります。

管理職を「選ぶ」ことだけでなく、

管理職として育つ仕組みを、組織として持っているか。

そこまで含めて、管理職登用を考える必要があるのではないでしょうか。

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